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Twelve Y.O.

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Twelve Y.O.(トゥエルブ・イヤーズ・オールド)江戸川乱歩賞受賞作品と銘打たれると手に取ってしまいますね。しかしこれが相当読みにい、とにかく文節は短く、そのうえ自衛隊組織と沖縄米軍基地とヘリコプターが絡んで絡んで酩酊した頭に若干こ難しい。キメラとかウルマ、グソーの門とかのコードネームの連発や、米軍基地の地下にサティアンをも凌ぐ巨大な殺人ガス精製施設があったり、そのネタに国家の解放を目論む元情報諜報官が実は米大統領の息子と、全体進行は漠然としか理解できず、故に所感も薄い。読書は集中して一気に読み進めたほうがええなと。もう一回真剣に読み込んでみたい作品でしたね、[亡国のイージス]も書き上げた結構な作者でした。

先週から闇雲に、釣りに行って釣果ゼロ。既に厳寒の富山湾。

イカ47匹

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巷でイカ不漁との情報が錯綜する今日この頃、友人M氏が一晩で47匹、脱帽です。しかし、小さい9月下旬。

さすがやわ、桐野夏生の[out]

死体処理法を大胆に生ゴミとして普通に捨てさる、猟奇的な処理行為にも拘らず、その描写にさほど血生臭いさを感じることもなく、全体としての主軸に処理行為を通しての、ごく普通の夜勤パート主婦の日常の深層心理のアングラな部分を描いた小説でした。明らかに常識を逸した行動や、本来無関係であろう登場人物たちの絡みが、人物背景と金銭授受に濾過されてしまうと、妙な不自然さが抜けて無理なく読めましたね、結構なボリュームでしたが。映画化された作品はさすがやなと改めて思います

ヒラメ、ゲットン

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連れからイカ報告が届くと無性に腹立たしいので真っ昼間からイカ釣行へ。しかしながらのこの時期エギ二号でシャクリは全く不甲斐なくたまらずミノーに付け替えてしまいますね。浅い海藻を避けてフローティングでチマチマとリーリング。ドロドロッと奮い立つような手応えにセロトニン大放出で慌てて回収、スズキでなくヒラメゲットに思わず[ 写真!写真! ]と連呼してしまう慌てぶりをご披露。確かに嬉しい一枚でした。しかし、捌くのは相当難しい。

すっかり完落の[半落ち]

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貪るように読んでしまった[ 半落ち ]は映画とはまた趣を異した感動的なものでした。登場人物に沿った章編成の中にそれぞれの信念を的確に訴える形で展開しつつも、全編に渡り自分の身を呈して絆を守り通そうとする容疑者の姿に感極まるものがありました。映画での寺尾聡、柴田恭平、伊原剛志がここまで違和感なく思い描けた事も珍しく、今更ながらもう一度映画も観てみたくなりましたね。
興味半分でも骨髄ドナー登録した事を誇りに思える作品でした。

とは別に久々にいいネタ。中2担任教師より

指向性なし

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[テロリストのパラソル]と銘うたれ、江川乱歩賞受賞作に惹かれ、趣向を変えてハードボイルドを読み込みました・・が、どうも間延びして最後は然程腑に落ちてこない不自然さが残るものでした。
東大全共闘を過去を持つアル中の中のバーテンが、無差別爆破事件の現場に巡り合せ、と出足好調ながら、若干の過去を描きつつ驚きの進展へと・・しかし力技のこじ付け具合が鼻につき、折角の構想がスポイルされた小説でした。

ハードボイルドから一転、角田光代を読んでしまう無節操ぶりを発揮して、[ 対岸の彼女 ]を完読。八日目の蝉の雰囲気をそのままに、相変わらずのフェミニンな心の奥底描き切る力量は感心させられます。日常的な非日常みたいな、解るような解らんような、面白い小説でした。

なるほど深かった河

往年のインテリ作家が気負いなく綴ら描いた死生観は恙なく先へ先へと読ませる秀作でした。キリスト教・仏教・ヒンズー教など宗教を広く肯定的な視線で捉え上手にガンジス川へと集約し尚且つそれらを担う人物像を融和・確立させている力強い構成力に脱帽です。またインドのエグ味を堪能できる作品です。[ 深い河 ]にどっぷり嵌って、違いのわかる男に近づいた錯覚を起こしそうになりました。

ホラー3連発

立て続けに[入らずの森]・[向日葵の咲かない夏]・・・なんちゃってホラーは読み終えた後が妙に空しい。見るからにオドロオドロしい[入らずの森]、未だ残る平家の怨念みたいなことを期待してましたが、アメーバのような粘菌が縦横無尽の大活躍でした。明らかに低学年向けの[向日葵の咲かない夏]、死んだS君が蜘蛛になって・・・この時点でちょっとオカシイ、死んだ妹は実はトカゲになって・・一緒に悪い奴を懲らしめる話と、完全に現実離脱のヨスケな空物語、途中止めようかと何度も思いましたが惰性で完読。
[独白するユニバーサル横メルカトル ]、気色悪い表紙、独特の世界観に読みながら、吐きそうになりましたね、久々に凄い短編でした。何時までも残る後味の悪さは筆舌に尽くし難い。

[海と毒薬]

米軍捕虜の生体実験・・圧し掛かるテーマに、大学時代の友人が731細菌部隊の事を熱っぽく語っていたのを思い出され、誘われるように手に取りました。事実として日本人の罪とその死生観・刷り込まれた残忍性を問い、戦中下という異常な環境での倫理観の欠如した残虐な特異性を結核患者の死、米軍捕虜の解剖死などを通し描かれていました。先の細菌実験や生体解剖など尽く命を冒涜した事実を遠藤周作は問い続けた作品でした。しかし遠藤周作を読んでいるとナントもインテリな感じがしますね。

存外

忘れていた誕生日を娘の電話で思い出すと、変に嬉しく、もの哀しいものだと。

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