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指向性なし

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[テロリストのパラソル]と銘うたれ、江川乱歩賞受賞作に惹かれ、趣向を変えてハードボイルドを読み込みました・・が、どうも間延びして最後は然程腑に落ちてこない不自然さが残るものでした。
東大全共闘を過去を持つアル中の中のバーテンが、無差別爆破事件の現場に巡り合せ、と出足好調ながら、若干の過去を描きつつ驚きの進展へと・・しかし力技のこじ付け具合が鼻につき、折角の構想がスポイルされた小説でした。

ハードボイルドから一転、角田光代を読んでしまう無節操ぶりを発揮して、[ 対岸の彼女 ]を完読。八日目の蝉の雰囲気をそのままに、相変わらずのフェミニンな心の奥底描き切る力量は感心させられます。日常的な非日常みたいな、解るような解らんような、面白い小説でした。